植栽ツアー 御岳渓谷の紅葉散策
• 2009年11月15日
今日は、月イチ恒例「植栽見学ツアー」に行ってきました。場所は、都内近郊の「紅葉の名所」として知られる「御岳・青梅」エリア。名庭「玉堂美術館」と大衆文学の祖「吉川英治記念館」を見学しながら、御岳渓谷の散策で、自然が創り出す秋の絶景を堪能してきました。今日は紅葉シーズンの真っ只中ということもあり、モミジ狩りを楽しむ家族連れやご夫婦が大勢訪れていて、普段は幽玄な雰囲気の御岳渓谷も、今日ばかりは「普通の観光地」と化していました。
最初に訪れた「玉堂美術館」は、横山大観と並び称された日本画の巨匠「川合玉堂」が昭和19年から昭和32年までの十数年間を過ごした御岳の地に故人を偲んで開かれた記念美術館です。数寄屋建築で有名な「吉田五十八」氏による建築物と御岳渓谷の山々を借景にした本格的な枯山水庭園を楽しむことが出来ます。この庭園には昭和の名作庭家「中島健」氏が関わっています。今日は、この季節しか目にすることの出来ない「イチョウの黄葉」を取り込んだ庭園景観を堪能してきました。
その後は、多摩川沿いの「御岳渓谷遊歩道」を景色を楽しみながら下り、「澤乃井ガーデン」を経由して、「吉川英治記念館」へ。昭和19年から28年までの約10年間、本人が居住した日本家屋や庭園がそのまま保存されています。因みに、吉川英治氏は、「宮本武蔵」(最近は、マンガ「バカボンド」の原案として注目)や「新・平家物語」や「私本・太平記」など、数々の歴史小説を残した、戦前~戦後の国民的小説家です。初期は、「大衆娯楽」的な作品なので短いものが多いのですが、「宮本武蔵」以降は、文庫本で最低5・6巻~10巻以上という気軽には読み始められない長編ばかり(新聞の連続小説として連載していたため、読者の評判が高く、自然と長編になってしまった。上杉謙信や黒田如水などの、戦国武将ものは、短いのでオススです)。
川合玉堂と吉川英治という二人の文人が、昭和19年当時、「戦火の危険」から逃れ、創作活動に専念するための「疎開」場所として、この「自然豊かな山村」の地を選んだことは単なる偶然では無かったはずだと思えてなりません。
この二人の文人を惹き付けた御岳渓谷の自然は、今も変わらないその姿で、訪れる人々を魅了し続けています。
それにしても、今日は、天候に恵まれたにも関わらず、殆ど日陰にいたのでエライ寒かったです。Iさん、お腹の具合は、大丈夫ですか?